あれこれトリヴィア 1

【ジャックとドゥーグルの微妙な関係 

脚本のグラハムとアーサーのインタビューを聞いていて、「そういえば!」と思ったことがある。ドゥーグルはジャックに絶対に話しかけない。脚本家の発言を聞くまで全然気づかなかった。ジャックの座っているところにかがみこみ、話しかけるのはいつもテッドの役なのだ。一度、第1回の放送でジャックの壊したテレビの枠をかかえてドゥーグルがふざけるシーンがあるが、ここでもドゥーグルはジャックをおちょくりはするが、話かけてはいない。そしてドゥーグルがジャックの方をみて話をしたのは、あのシーンのみだ。 加えて最初の設定ではジャックはミセス・ドイルをひどく嫌っている、という設定だった。シリーズ1でははそんな雰囲気がありありと出ているが、その後そのアイディアはフェイドアウトしてしまったようだ。しかしドゥーグルと違い、ミセス・ドイルとジャックの会話になってない会話は何度が出現する。ミセス・ドイルはジャックを「ファーザー・ハケット」と呼ぶ。でもこれもおそらく1回だけ。警察で自分たちが収監されているところにジャックもつれられてきて「ファーザー・ハケット!」と叫ぶシーンだ。そういえばミセス・ドイルはテッドをテッドとは呼ばないし、ドゥーグルをドゥーグルとは呼ばない。二人を「ファーザー」と呼ぶ。



【OUR FATHER

「Our Father」はテッド役のダーモット・モーガンの突然の死の直後、息子たち、奥さん、最後のパートナー、妹、本当に親しい友人などによって書かれた文章をまとめたもので、当然身内のコメントだからスキャンダラスな内容はまるでなく、その点はつまらないかもしれないけれど、やっぱり息子たちのコメントには、ぐっと来てしまう。ダーモットには最初の奥さんとの間にティーンエイジャーの男の子が二人、そして死ぬ直前につきあっていた恋人との間にやはり男の子が一人、合計3人の息子がいた。特に末っ子の子はダーモットが亡くなった時、まだ5才くらいだったみたいで、そのコの書いた文章に「He was the bestest father」というところに涙してしまった。

この本から拾ったネタも少しずつ書いていこうと思う。
うれしいのは「Our Father」にはダーモットが書いたFather Trendyのスクリプトや、Scrap Saturdayの資料も山ほど載っていること。
二人で共作する方法だが、お互いに2、3ページ書いたら次に渡す、というように、リレーのようにな方法で書いていったらしい。「The Complete Scripts」を見ると、お互い好きなエピソードなど評価が違うのがおもしろい。
ちなみに「My Lovely Horse」の歌詞自体はアーサーが書いたようだが、その前のテッドとドゥーグルの会話の部分はグラハムの方が書いたとのことなので、やはり二人の共作と言っていいかもしれない。



【テッドとタバコ



テッドはヘヴィ・スモーカーとして劇中では描かれているが、ダーモットはいっさいタバコをすわなかったようだ。グラハムはコメンタリーで「もしかしたら昔吸っていて止めたのかもしれない」「彼のタバコをすう演技はとてもナチュラルだよね」と話している。




ミセス・ドイル

ミセス・ドイルは、Father Tedの中で一番ミステリアスな登場人物である。演じているのはポーリン・マックリンで、彼女は収録当時まだ30代。当初製作陣たちはもっと歳上の50代の女優を捜していたが、結局みつからず。2度目のトライで送られてきたビデオのオーディションで一発でポーリンに決定したそう。それにしてもミセス・ドイルをこれだけ完璧に演じてしまうポーリンの才能はものすごい。ポーリンとTed役のダーモット・モーガンは、Ted以前にダーモットの人気ラジオショウ、「Scrape Saturday」での共演経験がある。
お茶を入れることを生き甲斐としているミセス・ドイルは「アイルランドのホスピタリティとフレンドリネスの象徴だ」と脚本家のグラハムは話すように、確かにアイルランドに行くと、こういうおばちゃんはたくさんいる。グラハムは彼のお母さんがミセス・ドイルのモデルだとも告白している。お茶を入れる熱意はものすごく、サンドイッチやチョコレート、すすめてくれる時のその量がまた尋常ではない。またあまりの熱意に根負けした相手が「じゃあいただこうか」と手を伸ばすと、そのトレイやお茶を遠ざけるという技もある。


ミセス・ドイルがクラギー・アイランドにくるまでの経歴などはいっさいドラマの中では明かされていない。友達は多いが、そのすべてがミセスなんとか、というようにファミリーネームでお互いを呼び合っている。茶飲み仲間のミセス・ディニーンとはどちらも自分がお茶代をご馳走すると主張し、それがとっくみあいの喧嘩に発展。警察沙汰になったこともある。

この時もミセス・ドイルを収監した警察と、カフェにいたテッドの電話での会話では
 警察「Do you know Mrs Doyle? First name...(ジリリリリとベルの音)Doyle」
 テッド「Do I know Mrs(ガチャンとお皿を割る音)Doyle?」

 テッド「Do I know Mrs(ガチャンとお皿を割る音)Doyle?」
と、ミセス・ドイルのファーストネームが絶妙に隠されている。(S3E4)


実は彼女のファーストネームはJoanなのだが、これはS1E4のCompetition Timeのスクリプトの中でのみ一度だけ書かれていることで、実際には放送されていない。
結婚もした経験があるのか、もしくは現在もしているか明らかではないが、夫がいる(いた)ことは確かで、一回本人がうっかり「 My husband...」と口を滑らせるが、すぐに「I said too much」と言ってだまってしまった。(S3E7)


上唇に大きなホクロがあるが、それがシリーズによって移動したり消えたりしているのが興味深い。


牧師館にあらわれる修道女でない女性を極端に毛嫌いし、冷たい態度をとる。



【FLIGHT INTO TERROR

コメンタリーを聞いていて拾ったこのエピソードの面白いネタを3つ。


第2シリーズの最後のエピソードのために、飛行機の機内に集合した牧師たち。ゲイであることを告白されとまどう牧師の役は脚本家のグラハムだというのは有名な話。ちなみにテッドに紙のボールをなげつける修道女のうち窓際の小柄な女性はミセス・ドイル役のポーリン・マックリン。このシーズンの最後のエピソードということで、みんなが集合したので、彼女も参加したがったので実現したそう。ちょっと観ただけじゃまったく見分けがつかないが、よく見ると確かに、という感じ。
後ろの座席で「Mrビーン」の機内放送を楽しむ盲目の牧師のアイディアは、グラハムがとある国際線に乗ったときに生まれた。飛行機にのって「Father Ted」が機内放送で放映されているのを知り狂喜乱舞するグラハム。が、せっかく放送時間になっても、それを見る人は誰もいない。唯一後ろの方で「ハ!」みたいな声が時々あがるのみ。がっかりするグラハム。テッドの放映が終わって、「Mrビーン」の放送が始まったと思ったら、機内の全員が読みかけの新聞をおいて放送を見始めたのだそう。しかも皆ヘッドフォンをつけて! Mrビーンには台詞も何もないというのに! 悔しく思った(笑)グラハムはこのネタをこのエピソードに書き込んだ。


アーダルはニューヨークでのショーのあと、奥様とお嬢さんと一緒に飛行機に乗っていた。機内放送で彼が出演した「My Hero」が放映される。彼らの隣に座っていた大きなアメリカ人の黒人男性が「My Hero」を観たあと、隣に座っていたアーダルの奥さんに話しかけた。「なぜアメリカに行ったの?」「私の夫がこうこうで・・」「旦那さんは何をしているの?」そしてそのアメリカ人はアーダルの方みてMy Heoroに出演していた俳優と気づかず「そっか、コメディアンか。これから注意して君が出演していないかみておくよ」と言ったのだそう。アーダルは実際その役をのコスチュームを着ていない限り、人に気づかれることはあまりないんだよねと告白している。




【最初のアイディア

最初のエピソード「Good Luck Father Ted」が示すように、実はアーサーとグラハムはすべてのエピソードを「なんとかかんとか、Father Ted」とするつもりでいた。
また当初のアイディアではドゥーグルが窓をのぞいて見る外の天気ネタは毎回やる予定だった。
アイルランドでは最近まで離婚が認められていなかった。テッドが競馬中継をラジオで聞いていた時、馬は「Devoce refurendom」という名前だった。いつも荒々しい夫婦喧嘩をしていて神父がくると喧嘩をピタッと止めるメアリーとジョンのオリアリー夫妻ネタも当初は毎回出演予定だった。二人に子供を設定しようと思ったが、話が悲惨になると思ったので止めたのだそう。

二人の成人男性が狭いベットルームをシェアすることについて。二人の妙にイノセントな部分を表現したかったと、グラアムはビデオのコメンタリーで話している。


テッドたちが住むクラギーアイランドを非現実的なイメージにしたかったので、脚本家チームはいつもはっきりしたクラギーアイランドの情報を視聴者に与えないように気をつけた。大きさもはっきりしないが、チャイナタウンが存在するくらい大きいように思える時もある。天気があまりにひどくて綺麗な西側はなくなってしまった等、シュールなエピソードには事欠かない。


また二人の作家チームはクラギーアイランドを「ヘンな場所」と設定し、あくまでも島の外から来たアイルランド人はみんなまともでノーマルな人間に設定することに非常にこだわった。あくまでおかしいのは「クラギー島」だけだ、と。


グラハムのビデオのコメンタリーや本から感じられる事に、二人は「いわゆるアイルランドというものにアイルランド人以外の人たちが持っているであろう固定観念」をはずすことに非常に努力した。なので、グラハムいわく最初のオープニングのいわゆあるアイルランドの西部の島の空中撮影のシーンについては、非常に悩んだと言う。でも最後ヘリコプターが突っ込むところで、オチがついているので、まぁいいかな、とも思ったそう。




【MY LOVELY HORSE


TEDファンにはあまりに有名なこの曲の最初のアイディアは、テッドの生みの親、アーサーとグラハムのこんな会話から生まれた。
「何についての曲にする?」「My lovely horseてのは、どう?」
それはまるで、そのまま同エピソードでのテッドとドゥーグルの会話のようだったとグラハムは話す。


この回が放送された頃のアイルランドはといえば、ユーロヴィジョンで連勝しまくっていた。ユーロヴィジョンとはヨーロッパの各国にまたがるソングコンテストで、受賞曲は毎年ヨーロッパ中の大ヒットになるというメリットがあると同時に、音楽的には中途半端なダサいポップソングが入賞することで名高い。


エピソード中にディック神父が歌う「Miracle is mine」こそ、いわゆる典型的ユーロヴィジョンと言っていいだろう。大げさな歌いっぷり、しつこいストリングスのアレンジ等々。


劇中ドゥーグルがノルウェーのNin Huugen and Huugen notesの曲だと言っていたメロディはもちろんDivine Comedyのニール・ハンロンが書いたわけだが、歌詞は脚本家の一人、アーサーが書いたものらしい。もっともその直前のドゥーグルの「My lovely horse、I want to hold you so tight...」のセリフの部分はグラハムが書いたそうなので、やはりアーサー、グラハムの二人の共作と言っていいかも。


最初に出来たこの歌をテッドとドゥーグルがジャックとミセス・ドイルの前で歌った時はだいたい視聴者はその歌のあまりのひどさに爆笑していて、歌詞まできちんと聞いてもらえてなかったと思うのだが、その後、ニールの曲がついてプロモーションビデオの段階になったときは、試聴者も歌詞にも注目してもらえたので、よかった、とグラハムは話している。


当初エピソードが書かれた時は、この曲をレコーディングするスタジオのシーンまであったそう。


爆笑のプロモーションビデオはアイルランドの70年代に活躍したバラッドバンドのスウォーブリックスの「That's what friends are for」のパロディだ。この曲はいかにもユーロヴィジョンといったクサい曲で、ビデオもテッドたちのビデオ以上にダサダサだったのだそう。(オリジナルのビデオが観てみたい!)プールのシーンでテッドたちの髪がぬれていないのは、このビデオがスウォーブリックスのパロディであるということを明確に提示するため。