あれこれトリヴィア 4

【Comedy Connections (BBC Scotland)


BBC Scotlandが制作したコメディが出来るまでのバックグラウンドや出演者のことを紹介したドキュメンタリー(おそらく他のコメンディについても作られていると思われる)のテッド編が、先に発売になったボックスセットのボーナスとして収録されていたのだけど、DVDボックスを手に入れて以来、まだ観ていなかたので今日やっと観る。あまりに面白くて2度観る。
テッドの素晴らしいところって何かなって考えてみたんだけど、一番素晴らしいのはたとえば自分が実生活でイヤな奴にあった時、そのイヤな奴はたいていテッドに出てくる牧師さんのどれかに非常に似ているんだわ、これが。その事実を思うと、頭にくるどころか、その人がかわいく見えてしまう。


ダーモット・モーガンが亡くなった時のパートナーのインタビュー

http://www.independent.ie/lifestyle/the-day-the-laughter-died-26450746.html



【あれこれ】

ダーモットとアーダルは俳優じゃないから、相当ファーストシリーズでは苦労したらしい。そしてスタート時は本当にこれが成功するコメディになるかは誰も不安だった、ということが明かされていてとても興味深い。特にグラハムとアーサーの二人のテッドの前の作品「Paris」はさんざんな出来だったらしく、レビューが恐くて新聞6週間読めなかったとグラハムは告白している。それでも制作陣はこの二人を起用し、そしてこの二人はこのテッドを生み出し、そして俳優陣を配置し、このシットコムを成功に導いているのが分かる。

最後の方でポーリンが「Feckって今、オックスフォードディクショナリーに載っているらしいわね」と嬉しそうに語るのが面白い。

このドキュメンタリーを観て、今までアイルランド側からの意見しか知らなかったんだけど、ロンドン側の制作スタッフのコメントが興味深かった。最初オーディションに来たダーモットの演技はさんざんで(そりゃーそうだ、彼は俳優じゃないんだから)、でも彼はものすごく必死で、そこまでやりたいのだったら彼にやさせるべきじゃないか、と決断したというプロデューサーのコメントがズシリと響く。

あまりにもカリスマ性に満ちたダーモットが、保守的なアイルランドの業界から、ほとんど干されるような状態の中で、このコメディに参加したのがわかる。それにしてもこのコメディ、知れば知るほど成功は自分の予期していない偶然の産物で生まれる、というのを教えてくれる。もしかしたら成功なんてなしで、そこそこで続けているような(今の自分のような)状態が一番幸せなのかもしれないと、テッド(特にダーモット)を観ているといつも思う。

それにしてもプロデューサーは、ある程度大らかな気持ちで、かつ全責任を取る覚悟で物事を進めないとダメなのだなと、つくづく思う。じゃないとみんなに成功をもたらすことは出来ない。いや、本当にテッドは勉強になるし、共感しまくりなのだ(笑)

そういえばグラハムが「ファースト・シリーズのときのプロデューサーは本当に僕らにものすごい影響を与えてくれた。たとえばテーマ曲を選ぶ時も、実はディヴァイン・コメディは2曲準備してきた。今のテーマよりももっとおバカなメロディの方がいいと言った僕に対してプロデューサーは“自分が生み出したキャラクターをそんなにバカにするもんじゃないよ。もっと愛してやりなさい”と言ってくれたんだ。そしてあのテーマになった。その決断は正しかったと思う」と語っている。

ユーモアの力ってすごい!! 人生を明るくすごしたい人、テッドを観るべき。



【イースター】

イースターといえば、やっぱり思い出されるのは「シガレット、アルコール、ローラブレイディング」のエピソード。チョコレートをむさぼるシスター・アサンプタのものすごい格好が思い出され、思わす笑ってしまいます。英語の勉強にと見始めたテッドですが、すっかりはまってしまい、セリフも覚えるまでにいたってますが、やっぱりコメディってこういう教材には適しているのかも。今、RTEのドキュメンタリー「SEVEN AGES」(私は勝手に激動の昭和とか呼んでいる、そんな感じのドキュメンタリーです)をBGVに仕事してますが、まったく英語が残りません。やっぱりテッドは偉大だったなぁ。


【最近のグラハムとアーサーのコメンタリーで拾ったもの

●スピード3に出てくる毛深い赤ちゃんの写真。一部にアーダールの赤ちゃんの写真が混ざっているらしい。もしかすると全部そうだったかも、という事。まぁ身近なところで手配するのは当然にしても、おかしいですよね。

●老人サッカーのエピソード:テッドに「女性にも楽しめるサッカー読本」を渡され一生懸命サッカーを理解しようとするミセス・ドイル。それってとってもアイロニック。なぜならドイル夫人役のポーリンは大のサッカーファンだったから。

●シリーズ3の頃になるともう収録も最後だということを分かっていた役者たちやスタジオのオーディエンスは「何か記念になるもの」ということでダーモットやアーダルは牧師のカラーをロックスターのように投げたりして観客を喜ばせていた。メイクアップ担当はミセス・ドイルのほくろをのせたトレイを持って「だれか欲しい人~」とやったそうで、ポーリンは思わず引いてしまった、という。

●羊の回はライターの二人にとってはとても失敗した回だと思っているらしい。私もこのエピソードは好きではない。その点、スピード3は二人のお気に入りだ。無駄な事がなにもなく、すべてのシーンが生かされ、見事な展開だ、と二人は自画自賛している。

●台本の読み合わせのときは割とみんな普通に読むだけだったらしい。それがいったんスタジオのお客さんの前にいくと割と大げさに演技をする傾向にあった、という。特にシアター系のアクター/アクトレスはどうしても演技が大げさになりシットコムに向かないという意見もある。

●それにしてもシットコムのお客さんの笑い声は出来上がったものを観せながらオーバーダブしているのかと思ったら、そうじゃないのね。ダーモットは特にお客さんが大好きで、何かというとお客さんの方に降りていって、お客さんと話ばかりしていたらしい。


【映画館】

シリーズ1は久々に観るとやっぱりおもしろい。私はシリーズ3が圧倒的に好きだけど、やっぱり1の新鮮な感じも捨てがたい。本当によく出来ている。

エピソード2に出て来た「The Passion of St Tibulus」の映画が公開された映画館として撮影に使われた古い映画館(ウィックロウ)が、昨年7月にクローズになったようで残念です。ビショップ・ブレナンに言われてこの映画を観るな、とプロテストするテッドとドゥーグルのせいで、映画は予想外の大ヒットになってしまうわけですが・・

映画館、観たかったなぁ。建物はまだ残っているのかな。でも、いつか壊されちゃうんだろうなあ。



【The Plague】

うさぎの回「The Plague」のエピソードの冒頭で出てくるFather Ben。いつもテーマ音楽が流れ、いつもならFather Tedの文字が出てくる場所でなぜかFather Benの文字。そしてまるでテッドとドゥーグルのドッペルゲンガーのようなFather Benの出演者たち観て爆笑するテッドとドゥーグルという設定なのだが、 ベンの役はグレイヘアーのカツラをかぶった作家のアーサー・マシューズが演じている。

アーサーはステージをやっていた人なので、テッドのあっちこっちにチョイ役で出てくる。Father Stoneの回の誕生パーティに参加する牧師の一人。ホイッスルの回にキャンプサイトで「ホップオフ!(No swearing)」とわめく夫婦の旦那役。第1回目のエピソードでのファンランドのナレーション。Think fast father Tedの回で車の中で聞くラジオ番組のDJの声。スピード3の回でテッドと頭を悩ませる牧師の一人、などなど。



【スパークリング・ワイン】

アーサーとグラハムの二人のユーモアのセンスは本当にイカしているが、テッドにおいてこの二人が特に気に入っているのは、めちゃくちゃマイナーな部分だったりする。

コメンタリーを聞いていて、二人が爆笑していたのが、このセリフ。ビショップ・ブレナンのお尻を蹴っていい気になっているテッドがドゥーグルとお祝いしているシーン。これがシャンペーンじゃなくて、スパークリングワインだ、というのが彼ら(作家の二人)にとってはすごくミソなんだって。

グレハムは自分たちがものすごく気に入っているセリフはだいたい他の人に受け入れられないんだ、と言っていたけど、そのセンスはよく分かる。たしかによく考えるとものすごく可笑しいかもしれないが、あまりにもさりげなくてマイナーな部分ばかりだからだ。

他には、Hell(S2 E1)で、マジックロードの説明をするテッドが「Strange phenomenon」を「It is a」ではなく「It is what it's called...」と頭につけるセリフや、Think fast Father Ted(S3,E1)で「How did you get in that sort of thing?」という「レイシストがホビー」だという考え方。またSong for Ireland(S2.E5)で、「I don't want to jump into any conculsions to get us all excited but we're definitely gonna win」というテッドのセリフなど。

あとはアーサーの好きな「Father Shorttall」ギャグ。あまりにマイナーで、これを聞いて「あぁ、あそこね」と分かる人は少ないと思う。(回答はFather Stoneの回です)



【犬のおもちゃ】

めちゃくちゃおかしいシーンの一つ。フライト・イントウ・テラーの回で、ドゥーグルがかった犬のおもちゃに怒るテッド。ばかなドウーグル相手にむきになるテッドがめっちゃくちゃ笑える。

「バカだな、犬だってこれが電話じゃないって知ってる! 彼らは人間みたいに進んでないんだ、人間と同じユーモアのセンスを持ち合わせてないんだ。ほらこの絵を見てみろ、なんで犬が喜んでいるんだ? 黄色いゴムの電話をもらって音が出るって喜んでいるんだよっ!!」真剣なテッドの顔がおかしいの、なんの。ドゥーグルもまけじと反論する。「We will agree to differ, right?」「NO, we won't because you are VERY VERY wrong」っていう言い方も、そうかー、こういう風に言うんだと納得。やっぱりコメディを観ると英語の勉強になる。

テッドがカトリックチャーチを批判している、と取る人も多いと思う。でもこれを見ると、牧師たちはみなピュアでイノセントで世間しらずだ。そこがやっぱりものすごく面白い。



【テッドは優しい】


テッドってせこいところあるけど、本当に優しい。たとえばテッドがドゥーグルがベンソンさんのホイッスルを盗んだと誤解したとき、ドゥーグルに話しかけようとする様子。ドゥーグルをかばおうとする様子。牧師館にやってきたオウン・マクラヴにミセス・ドイルのお茶を褒めるように促すところ、など。

うーん、それにしてもテッドって面白い。何がいいって、登場するヘンな奴、これがだいたい実生活で出会うヘンな奴に非常に似ているところ。

いやなことが実生活であっても、テッドに似たようなヘンな奴や牧師さんが出て来るから笑い飛ばせる。やっぱりコメディってすごい。



【クリスマス】

テッドのクリスマススペシャル(1時間)のエピソードはアーサーもグラハムもあまり気に入っていないようだ。たしかにクラギーアイランドのシュールな雰囲気では1時間はきつかったかもしれない。でも細かいところがかなり可笑しい。

エピソードに登場するアイルランド1でかいランジェリーセクションはエニスにあるDuns Storeでシューティングされたらしい。

笑えるフレーズ「お前のこえは退屈すぎて集中できない」
Sorry Father, your voice is too boring, I can't concentrate. 



【Father Stoneの不自然な体勢】

にうたれ横たわるファーザーストーン。なぜかベットから落ちそうなくらい右側に寝ているのだけど、この体制だと左足がベットの端から落ちてしまうのか、この俳優さん、足を不自然にクロスしている。それがちょっと、、というかかなり不自然!(笑)よくディレクターがNGにしなったよなぁ。